早春の季節に甘い梅の香りを漂わせて人々を楽しませてくれる梅は、古くから日本人に親しまれてきました。
そんな梅の花言葉や由来、品種、紅梅と白梅の違いなどをご紹介していきたいと思います。
目次
梅とは
梅とはバラ科の高木植物で、白あるいは赤い花をまだ風がとても冷たい早春に咲かせます。
果実はゴルフボールくらいのサイズで食べることができますが、未熟な果実(青梅)には毒があるとも言われています。
鼻を花に近づけると甘い香りがするのも特徴です。
梅の由来
梅は平安時代以降に薬用の目的で(「烏梅(うばい)」今でも漢方にあります)中国から伝来してきました。
一説によると、中国語では「むばい」という発音だったものを「うめ」と聞き取ったため、「うめ」とよばれるようになったそうです。
梅の花言葉
梅の花言葉は「高潔」「忍耐」「忠実」。
白梅は「気品」という花言葉になります。
梅の誕生花
1月3日、1月11日(白)、2月1日、2月7日、10月24日
梅の品種
梅の品種は多く、中国から渡来したものだけでなく、江戸時代にも品種改良がおこなわれ、現在では300種類以上あるといわれているそうです。
梅は、大きく分けると赤梅(コウバイ)と白梅(ハクバイ)に分けることができます。
さらに園芸学的に「花梅」と「実梅」に分けられ、「花梅」はここから系統ごとに野梅系・豊後系・緋梅系の3つに分類されます。
このうち野梅系と豊後系の2系統が白梅で、緋梅系が紅梅になります。
なお「花梅」にはさらに「3系9性」に種類がわかれるそうです。
紅梅と白梅の違い
紅梅と白梅の判別基準
紅梅と白梅の判別基準は、咲いた花の色ではなく、枝や幹を切った断面で判別されます。
ですから、「赤い花の咲く白梅」や「白い花の咲く紅梅」というのもありますし、また1本の木に、紅い花と白い花の両方が咲くこともあります。
紅梅の方は断面が赤みがかった色をしていて、白梅の方は特徴のない白い断面です。
基本的に花の色も紅梅は赤みがかっていて、白梅は白い花を咲かせますが、中には花が白い紅梅もありますし、赤みがかった花が咲く白梅もあります。
判断基準はあくまで枝や幹の色なので、どんな色の花が咲いても断面が赤ければ紅梅で、白ければ白梅になります。
紅梅と白梅の用途の違い
用途も紅梅と白梅では違いがあり、紅梅は主に木材として、白梅は主に実を食料として利用されます。
紅梅の実は小さい上に苦みがあるため、食用には向いていません。
しかし木材にすると、味わいのある赤みが魅力になるので、器や家具の木材として人気があります。
対して白梅は、色や強度などの点から見て、木材としての特色がないので、木材として使われることはあまりありません。
しかし白梅の実は全体的に大きいので、食用に適しているのはこちらです。
一般的に売られている梅干しや梅酒と言った梅を使った食べ物や飲み物は、基本的に白梅の実が使われています
紅梅と白梅の違いまとめ
紅梅
- 実は小さくて堅い
- 酸味や苦味が強い
- 食用に向かない
- 木の断面はピンクのような淡い紅色(幹の色の美しさから、器や家具などを作る際の木材として人気があるそうです。)
- 「枕草子」や「源氏物語」に多く登場する
白梅
- 実が大きい
- 梅干しや漬け物、梅酒向き(梅干しで有名な和歌山の南高梅も、この白梅です。)
- 木の断面は白っぽい色
- 香りは白梅の方が強い
- 「万葉集」や「古今集」で多く詠まれた
ちなみに、開花時期については差がなく、品種によっての差があるだけです。
梅に関する豆知識
梅の毒と梅干について
梅に関する豆知識として、青梅には毒があると先に書きましたが、青梅を一定期間塩につけて梅雨の間の天気のいい日にじっくり干しておくと梅干しができあがります。
おにぎりの具の一つに梅干しは定番ですが、ご飯の中にある梅干しが白飯を腐らせにくくする効果があるといわれています。
確かに梅干しの抗菌作用により周りのご飯は腐りにくいのですが、白飯全般に抗菌作用がなければ意味がないのではとも思い、梅干しをご飯全体にまぜてもっていく人もいるそうです。
梅干し用として一番有名なのは南高梅ですが、南高梅は梅干しにしても、甘露煮にしても、梅酒にしてもいい万能「梅」です。
他にも小粒南高や白加賀や豊後など様々な品種が栽培されています。
名所としての梅
梅は、同じバラ科サクラ属の桜より早く咲くので、花見の宴をその下ですることはありませんが、大阪城の梅園など各地の名所には多くの観光客が毎年訪れています。
その梅園には品種改良の結晶である多種多様な梅の花が数多く植えられています。
ソメイヨシノに代表される桜は、見頃が短いけれど見渡す限りの景色が桜の花一色になるほど見事に咲きそろうのに対して、梅は色とりどりに順を追って咲いていく風情を楽しむ花です。
他方で梅の実には青酸の毒があり、そのまま食べると体調を崩すので加工食品技術を発達させて広く食べられるようになった歴史もあります。
梅園は大阪城公園のように観光資源として管理されているところもありますが、多くは梅干し生産のために果樹園として栽培されています。
一番有名なのは和歌山県ですが群馬県、奈良県、長野県、三重県でも梅は盛んに栽培されています。