登山を楽しむ人が増えてきた一方で、山での事故も多くなってきています。
万が一の事故や遭難に備えるためにも登山届(登山計画書)の必要性・意義についてご紹介していきたいと思います。
目次
登山届(登山計画書)とは?
登山届(登山計画書)とは、登山の際に提出する書類のことです。
事前に自分が登ろうとする山の特性を知り、十分な登山準備ができるようにするためと、万が一、遭難事故が発生した場合に登山届をもとに迅速な救助活動をするために提出するものです。
登山届けは、登山山域を所轄する警察へ提出しますが、家族にも通知することが必要です。
家族、警察などに登山届けを提出しておかないと、万一遭難したときに、どの山に登ったのか誰も知らないという事態になり、捜索できないため救出ができないことになってしまうからです。
提出に関しては、任意のところがほとんどですが、谷川岳、剣岳については条例に基づき登山届提出義務がありますので、そのような山に登るときには必ず提出するようにしましょう。
登山計画書の書式
登山計画書の書式は基本的に自由です。
警察などが作成した雛形があるのでそれを利用することもできます。
登山計画書には最低でも以下の項目は記載します。
- 登山者全員の氏名、住所、性別、年齢、携帯電話番号、緊急連絡先(家族)の電話番号
- 登山日数、入山予定日時、下山予定日時
- 登山ルート
- 非常の際は、どの山小屋に泊まるのか、または、どのルートで下山するのか
- 食糧の数量
- 事故時の対応について
- いつ、どこで、誰が、なにをどのようにするか明確化して記載する
などです。
日本山岳協会のホームページで様式をダウンロードすることもできます。
→日本山岳協会のホームページはこちら
登山届を提出する必要性・意義
登山届を提出する必要性・意義を把握して実行することが、登山を行う上での最低限のマナーといえます。
山を登るという行為は、自然の懐に抱かれつつ、他では味わえない達成感を得られる、最高のレジャーです。
しかし、そこには多くの危険も潜んでおり、事故や遭難が後を絶たないのも事実です。
たとえば、山は平地とは違い、天候が急変しやすいものです。
そのため、雨や強風、濃霧などで足止めを食うことも少なくありません。
それでも歩き続ければ、熟練の登山家であっても、山岳事故に巻き込まれることになります。
事実、キャンプ地を目の前にしたベテランチームが、挨拶を交わした直後に滑落して亡くなったという事例も、多数報告されています。
天候不順や滑落によって遭難すれば、自力での復帰は極めて困難になります。
その場合、捜索チームが組まれることになるのですが、登山届を出していなければ、そもそも遭難が発覚せず、誰も探してくれないといったこともありえます。
たとえ探してくれたとしても、正確な身元情報がなければ、余計な手間と費用がかかってしまうことになります。
そのため、どんなに安全そうに見える山であっても、登山届を提出する必要性・意義があるのです。